【音楽配信】YOUTUBE配信で考えるべきこと、注意点(ミュージシャン用)

■ ミュージシャン向け情報

アーティストとして、Youtubeをどう利用するか(プロモーション活動の場所にするか、収益化の場所にするか)は、事前にしっかり考えておく必要があります。

Youtube Musicを「音楽ストア」と考えるのはやめたほうがいいです。
未完成かつ不安定なサービスなので、音楽ストアとしては全く機能していません。個人的には、Google Play Music と統合されたら考えようと思っています。

このページでは、Youtube Music が現在抱える問題点、注意点をまとめ、「Youtubeをどう使うか」個人的なアイディアを紹介します。

ここがおかしい Youtube Music への配信注意点

Youtubeはサブスクリプションサービスである、Youtube Musicを始めました。(位置づけとしては、SpotifyのGoogle版)

Youtube Music で現状もっともおかしいと感じているのは以下2点。

● Youtube Musicでは、広告を見れば無料でフルバージョンを試聴できてしまう。
● Youtube Musicに配信すると、Youtube動画が自動的に作成される。
(アートトラックという。しかもこちらは完全無料)

上記2点から、フル版が完全に無料で提供される形になります。

タダで聞けるのなら、Youtube以外で買う必要がないわけですから、プロモーション活動も何もありません。

ほかのストアに配信する理由もありません。ただで配られるだけですので・・・

有名なアーティストも、タダで配信してるじゃん!

という考え方は、ここでは全く的外れになってしまうので、深く考察しません。

レコードレーベルに属しているアーティストは、収入源が全く異なるわけで、販売戦略も全く異なりますからね・・・。(まあ、イベント収入や企業オファーがあれば万事Okなのです)

このサイトは、生活すらままならない無名なクリエイターが、どう音楽で生きていくかを考えるブログですので、レコードレーベルや出版社とかかわりのあるクリエイターとは全くアプローチが異なります。

ミュージシャンは、Youtube をどう使うべきか考える

(問題点1)Youtube の向かう先が見えない

他のページでも書いていますが、わたしは、

セルフマネージメントにおいて、制作活動・宣伝活動・販売活動(収益化)は、分けて考える。

べきだと、考えています。(・・・三権分立みたいなカタイ書き方になってしまいましたが)

月額制 Youtube Music の登場と、未完成な仕様のおかげで、「宣伝活動」「販売活動」のどちらに使えるサービスなのか? が、分からなくなってしまいました。

迷走しているサービスを、戦略的に利用することはできません。

そもそも、Youtube自体が、フリーの場にしたいのか、サブスクとしてお金を儲けたいのか、迷走している気がします・・・。同じ傘下である Google が、Gppgle Play Musicストア を持っているのに、Youtubeはどういう位置づけを目指しているのかが見えないですね・・・。

(問題点2)フル版が完全に無料で提供される形になる

これが致命的です。

販売製品を、収益分配なしで垂れ流してしまうようなストアには、置くべきではない。

これは絶対条件です。作品の権利を放棄することと同義です。

タダで聞けるのなら、Youtube以外で買う必要がないわけですから、ほかのストアに配信する理由もありません。タダで配るなら、別に音楽配信を考える必要もないですね・・・。

現状で考えてみた、自分なりのYoutube利用法(1)

よって、現状、私としては、Youtubeは宣伝の場だと位置づけています。

「無料で宣伝できる場所」として「のみ」、使う予定です。具体的な方法は以下の通りです。

●(1)Youtubeに、流通用音楽(フルバージョン)を配信しません
●(2)試聴用、サンプル版のみ、自分でチャンネルを作り、投稿します
●(3)1,2により、Youtube Contents ID の問題を回避します

(1)Youtubeに、流通させる音楽を配信しない。収益化はしない。

セルフマネージメント上、「宣伝活動」と「販売活動(収益化)」を分けて考えた結果です。

YOUTUBEは「宣伝の場」として割り切って使います。

「販売活動(収益化)」は別のストアで、別の戦略をもって行います。

収益化は考えません。

このデメリットは、Youtubeで曲が流れても、収益化できないことです。わたしの音楽はスタイル的に収益化が難しいので、あまり気にしていませんが、バンドによっては抵抗があるかもしれません。

そもそも収益化できるのか?は、こちらで考えています。

【音楽配信】ミュージシャンはYOUTUBEを「収益化」できるのか?(ミュージシャン用)
実際に私が持っているアカウントをもとに考えてみました。一例としてご参照ください。 どのくらいの動画を作ると、いくらになるか(目安) ゲーム攻略動画をのせていたチャンネルの、わたしのチャンネルでの例です。 6か月毎日、6時間かけて動画を...

「わずかな収益化と大きなリスク」がセットになっているなら、一緒にどぶに捨てるというスタンスで、収益化はしません。

(2)Youtubeは、試聴用、サンプル版のみ投稿

こちらも、セルフマネージメント上、「宣伝活動」と「販売活動(収益化)」を分けて考えた結果です。

YOUTUBEでは、ディストリビューターを通さず、自分でチャンネルを作ります。

そこには、宣伝用・試聴用ファイルだけを置きます。

フェードイン・フェードアウトさせたり、ショートバージョンにしたり、「商品」との差別化を図ります。

ディストリビューターを通さずとも、自分で自分のチャンネルが「公式」だということはいくらでも証明できます(ISRCを知り得るのは著作権者だけです)。

・・・デメリットは・・・ケチと思われる・・・くらいでしょうかw?

生きるために音楽を作っているので、それはそれで仕方ないかな・・・

(3)1,2により、Youtube Contents ID の問題を回避

Youtube Contents ID について詳しくはこちらを。

【音楽配信】Youtube Contents ID は「ミュージシャンを守る」とは限らない
ContentsID で検索すると、動画配信者の方がクレームに引っかかった、どう回避すればよいか?という内容が多く出てきますが、クリエイターにとってはまったく逆の立場なので・・・ 「クリエイターにとっての、Youtube Conten...

Youtube Contents ID をざっくり説明すると、「正規バージョンがコピーされたとき、その使用動画を収益化できる」というものです。

正規バージョンとは、ISRCを発行して「正式に流通された」オリジナル楽曲のことです。要するに、itunesとかに配信する「フルバージョン」の曲です。

しかし、前述したように、Youtube MUSIC にフルバージョンを載せると、すぐさま自動でYoutubeにコピーされ、無料で配布されてしまう・・・というおかしな仕様になっています。

Youtubeで配信する ⇒ フルバージョンが無料で世に出回る ⇒ 楽曲価値がなくなる ⇒ 配信の意味がなくなる

YOUTUBEを、

(1)宣伝用として使う(ショートバージョン・フェードバージョンなどしか配信しない)
(2)収益化は考えない。

と割り切ってしまえば・・・以下のようなメリットも生まれます。

● Youtube Contents IDが、必要なくなります。

Youtube Contents IDを登録してくれるディストリビューターはほぼ、月額・年間の費用が高いです。こうしたディストリビューターを避けることができるので、年間維持費が安く抑えられます。

● Youtubeでのコピー問題を気にせずに済みます。

そもそも試聴用なので、コピーされて困ること(ここで無料で手に入ることで、他のストアで売れなくなるなど)もありません。

フルバージョンがコピーされたら(完全に犯罪ですが)、普通に動画削除依頼を出せばいいだけです。

そもそも、Contents ID があっても、そこから収入を得るには、「コピーされて、検出されないといけない」ということをお忘れなく。おかしな話です。

● 宣伝効果は逆に上がる可能性もあります。

試聴用ファイルがコピーで流されたとしても、そこにYoutube Contents ID は規制をかけないので、ガンガンコピーしてもらって、どんどん宣伝してもらうこともできます。

動画制作者の方に、フリー素材として自由に使ってもらうのもいいかなと思っています(動画制作の方も大変だと思いますし…)。

(別案)Youtube含め、すべてのストアに、RadioEdit のみを配信する

Radio Editは、いわゆるショートバージョンのことです。

音楽スタイルにもよりますが(歌詞がある楽曲、構成に意味をもたせている楽曲は、しっかりフルバージョンをのせたいですからね・・・)、ひとつの案かもしれません。ちょっとぶっ飛んでますが。

どのストアでも、ダウンロード販売を選ぶことはできず、自動的にストリーミングも配信されます(クリエイターが選ぶことはできない)。

各ストアとも、ストリーミングが主流になってから、ミュージシャンの収益は非常に落ち込んでいます。無料トライアル期間などは、ほとんどのストアで、売り上げに反映されません。

ストリーミング全盛の時代なので、「ストリーミングを選ばなければ、宣伝もできないし収益もないだろう」というご意見ももっともです。ですが、ストリーミングの収益ではどうせ生きていけないので、フルバージョンは自分のストアだけで必要としてくださる方のみに売れればいい・・・というのも、ある意味アリな気もします。

要は、すべてのストアを「宣伝媒体として使う」というスタンスです。

ストアの都合で勝手に無料で使われるんだから、こちらも利用できるところを利用すればいい。ならばストアを「宣伝活動の場」にしてしまえ。フルバージョンは自分のショップでしか売らないぜ。というぶっとんだアイディアです。まあ、半分冗談ですが、試してみたい気もする。

ストリーミングと音楽クリエイターの問題点(ある意味業界のおかしさ)は、興味があればこちらもご覧ください。けっこう衝撃で思わず笑えます。

アーティストの権利を主張するブログ「The Trichordist」(英語)

The Trichordist
Artists For An Ethical and Sustainable Internet #StopArtistExploitation

まとめ

現時点での、自分なりのYOUTUBEの使い方を考えてみました。

YOUTUBEのように、「コピーに対して収益化を迫る」というのは、健全なビジネスモデルではありません。コピーありきで成り立っている考えなので。悪く言えば、ただの「いたちごっこ」です。こんないたちごっこのために、資産や時間を費やすのはもったいない。

そのうちブロックチェーン技術が著作権情報などもカバーするようになれば、Contents IDのようなYoutubeでしか使えない独自のプラットフォームは廃れていくと思います。

追記

最近、TuneCoreなどでは、TiktokやFacebookへの配信を行うなど、色々な試みを見せています。

でも・・・色々なところに「出せばいいという訳ではない」ことを、この記事の例で知っていただけたら嬉しいです。

そのメディアは、宣伝に使うのか?販売チャンネルとして使うのか?

セルフマネージメントは「宣伝活動」と「販売活動(収益化)」を分けて考える必要があります。

一例として、「TuneCoreのTiktokへの配信」に関するリンクを張っておきます。

TikTok で自分の楽曲を配信、販売する方法 - TuneCore Japan
あなたの楽曲を iTunes, Apple Music, Spotify, Amazon など世界185ヵ国以上で簡単に販売・配信。権利はそのまま、収益は100%還元。 アーティスト・レーベルのための音楽配信流通サービス TuneCore(チューンコア)。

要は、TikTokは、収益チャンネルとしては使えないということです。Youtubeのように、宣伝場所として考えて配信しないと、効果がないどころか、悪影響が出る可能性もあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました