【混乱するEC業界】ECショップ・モール・ショップ作成サービスの行方(海外の例を含め考察)

■ ミュージシャン向け情報

デジタルダウンロード販売に限らず、インターネットのサービスは、今、大きな転換期にあると感じています。

昨年、国内最大手のデジタル販売ECモール、DL Market がサービスを終了しました。

投稿時の現在は、代替となっている「ココナラ」のような、「スキルシェアリングサービス」が急速に伸びていますが、Stores.jpやBASEなど個人でも無料でショップを開けるサービスも出てきて、現在はECモールや個人ショップが散乱し、カオス状態となっています。

個人的には、現在のECビジネスは、すでに「成熟期」を過ぎ、「過渡期・混迷期」にあると思っています。

今、起こりつつある混乱が過ぎた後、世界はどのような選択をするのか・・・

考えていたことや、これまで調べていたことを、つらつらまとめてみたいと思います。

ダウンロード販売を始めてみたいと思っているクリエイターの方や、物販ショップを開きたいと思っているバンドの方などに、一意見として参考になれば幸いです。長くて真面目でつまらないので、ここでページを閉じるのもまた一興w

【9/19一部追記しました】

なぜCtoC型サービス(個人間取引)は急速に広がったのか?

個人間決済、個人間送金(CtoC型ビジネスモデル)が、今、急激に増えています。

シェアリングサービス、ストック型販売サービス、クラウドファウンディング、投げ銭システムなど…数え上げたらきりがなく、Stores.jp・BASEなど、自分でショップを作れるサービスも出てきました。極端に言えば、WooCommerceやWordpressだけでもショップは作れますね…(セキュリティや運営の手間などは別にして)。

少なくとも10年前は、こうした事態は予測できませんでした。時代の速さを感じます。ここ2,3年で大きく変わったので、加速(失速も)早いかもしれません。

なぜこうしたサービスが増えてきたのか、さまざまな理由はあると思いますが、私が一番注目したのは「決済手段のオープン化」です。

個人的で恥ずかしながら、DL Market ができる約2年前、クリエイターが作品を手軽に販売できる、同じようなサービス構築を考えていた時期がありました(ほかにも同人販売サイトはありましたが、マージンや手数料が高かったので不満がありました…)。

そこで立ちはだかったのが、日本の資金決済法という法律と、それによる決済手数料の高さでした。

日本では資金決済法により、億単位の資金がなければ事業登録者(決済代行会社)になれません。これは逆に金融業者(クレジットカードなどの決済代行業者)を守ることになります。競争力もなく、いくらマージンを取っても許される業界体制でした。当時、国内12社くらい見積もりを取りましたが、どこも手数料が非常に高く、チャージバックなどの補填もないため、企画をやめました。・・・Paypalですら、日本でなかなか認知されなかった時代でした。

その後、この決済代行に食い込んだのが「海外の」決済代行業者でした。

Paypalから始まり、Square,Coiney,AirPAY,anyPayなどの参入により、「資金決済法」という法律で守られていた、高いマージンを取っていた決済代行業者は、「ぼったくりがばれてしまった」わけです。(乱暴な言い方ですみません。個人ブログですのでご容赦ください。)

これまで、日本はガラパゴスでした。今でも、間違いなく後進国です。

その状況を打ち破ったのは、日本人でもアベノミクスでもありません。

【世界の当たり前】がやってきた。それだけです。

ズバリ、クレジットカードの決済手数料はいくらなのか…?まるっとばらします

法人名義をもっていないとわからないような内容ですが(個人では、資料すら請求できなかったためです)、クレジットカード決済の手数料最安値は【3.4%~3.6%】です。恐らく、これより安いところは見当たりません。

※ なお現在、私が昔立ち上げた法人は休眠扱いになっています。当時調べた内容ですのでご容赦ください。

VISAやAmerican Expressなど、大元のクレジットカード会社が決めてしまっているので、これは変わらないのでしょう(余談ですが、JCBはちょっと系統が異なるのでまた違うルールがあるかもしれません)。仮想通貨や電子マネーに押されれば、クレジットカード会社も手数料の認識を変えてくるかもしれません。

【3.6%】+【決済代行会社の手数料】+【サービスの運営費用】=クリエイターが引かれるマージン

という図式です。

(何か注意が飛んできたら記事消しますw。まあ、Paypalの口座を開けば分かる程度のものですけど…)

WebmoneyやVプリカなど、いろいろなプリペイド系、さらに交通系電子マネーなどは、また別の決済手数料のこともあります。これは「決済代行会社」によって異なります。

また、日本は、通信会社の【キャリア決済】が最も高い手数料が取られます。引かれた手数料はDocomo,AU,Softbankの3大キャリアに流れます。まさにガラパゴス決済。いまだ根強く残っていますね…。

EC業界は、これから行き詰ると考える理由

資金決済法で一部の業者のみが認められていた決済サービス。

これが「外から」あっけなく打ち破られました。本当にあっという間でした。

政府は手のひらを返したかのように、モバイル決済など、デジタルマネー化を促進しています。オリンピックもありますしね。さすがに重い腰を上げられました。

そこにEC業界は目をつけ、色々なサービスが展開されるようになりました。手数料が安くなれば運営費も安くできます。業界がオープンになれば、資本主義競争が始まるのは自然な流れです。

もちろん【3.6%のみ】で運営できるサービスはありません。サーバー代や保守管理費用・人件費がかかります。株式会社なら株主のために企業の利益を稼がないといけません。日本では、法人税もバカになりません。

例として、昨年サービスを終えた DL Market は、マージンを約20%もっていくというシステムでした。この20%というのは世界的には標準で、別に高くも安くもありません。世界的に有名なシェアリングサービス、Uber(運転シェア)、Airbnb(宿泊シェア)なども20%くらいです。(それでも、他に売る場所がなかったためでしょうか、急成長を遂げました)。

さて、現在は、どのサービスを使うか「選べるようになった」ことで、それぞれのウェブサービスは「客取り合戦」を行うことになります。今、日本にあるサービスは、海外ですでに成功していたモデルケースをまねたものが多く見られます。

PPC広告を出し、集客しなければなりませんので、その広告料分マージンを多く取るケースが生まれます。またはサービスに特色をつけ、差別化を図りますが、逆に客層をせばめてしまい、買い手も売り手もいない…というケースも見られます。無料で始め、アドセンス広告のみで運営していた善意のサイトが、企業などの宣伝の場になってしまったケースもあります。まさにカオスです。

個人的には、どんな有名なサービスでも、いつ終わるか解らない状況だと思います。

3年先を行くと言われているアメリカでは、今すでに日本をにぎわしている(アフィリエイトでよく紹介される)サービスは、すでに行き詰っています。

ズバリ、CtoCサービスでの適正マージンを考える

みなさんがお使いのサービスは(フリマアプリ、オークション、フリーランサーの仕事サイトでも、オンラインサービスならなんでも)、必ず仲介手数料がかかると思います。・・・おいくら位の手数料でしょうか?

10%ほどの手数料なら、コスト的にはかなり優秀で、ホワイトな企業努力が見受けられると思います。

20%を越えると、世界基準で見ても、少し高いイメージです。

音楽業界は特殊で、大抵のサービスで、50%ほどマージンを取られます(著作権管理団体の問題などもあり、必ずしもサービスが悪いということではありません。音楽に関しては少し特殊です)。

これからEC業界はどうなるのか(勝手に予想)

現在、日本ではサービスがいろいろと出ているため、一見「繁栄期」のように見えます。

が、個人的には、ECサービスはすでに「飽和状態に入った」と感じています。昨年のDL Market 然り、これからECサービス全体が、「混迷期」に入っていくと見ています。

ターン(1)ぼったくりサービスの自然淘汰

個人的には、まず「あまりに手数料の高いサービス」は淘汰されていくと考えています。理由は、すでに現在「手数料が比較できる」ため、ぼったくり度がまるっと分かってしまうからです。

自分が登録していたサービスも、すでにいくつか無くなりました。厳しい音楽の審査に受かったサービスにも登録しましたが、マージンが高すぎて、音楽を書く気が起きません・・・。どこかでばらそうかなコレ・・・。

ターン(2)悪質商材への対応力、サポートなどの企業努力

次に、サポートの悪いサービスが淘汰されていくでしょう。理由はネットから「悪意」が消えることはないからです。

残念ながらこの世界から悪質なコンテンツ・詐欺まがいの情報商材が消えることはありません。販売者は名前を変えて、会社名を変えて、商材名を変えて、サービスを渡り歩きます。そのため、購入者が不満をもたないよう、サポートを継続して行えるサービスは生き残れるかもしれません。…今、あやういサービスがありますね…。

ターン(3)大手資本企業への集約

その次に、資本力により、大手企業への集約が進むでしょう。ある分野では(1)(2)と並行してすでに始まっています。

物販では、アメリカですでに先行決着がついています(amazon first・・・アマゾンへの集約となりました。その後、数社が追従していますが、ターゲット層を変えている、サポートを手厚くしている等のケースが多く、モール型の課題点が解決できない以上、これからも独走はしばらく続くでしょう。モール型のメリット・デメリットは、別ページで詳しく考察しています)。

クラウドワークスというワーキングシェアのサービスも、運営がYahoo母体になっています。このように「多少手数料が高くても」、広告費・人件費などを確保できる大手企業に、売り手も買い手も集中すると思われます。

これからは二極化する予感 (がする…気がする…こともないこともない…)

日本はいまだネット後進国で、閉鎖的です。ガラパゴスです。

クラウドファンディングも、シェアリングサービスも、ワーキングサービスも、ショップ作成サービスも、Made in Japan ではありません。【世界の当たり前】がやってきた。それを誰かが日本人向けに立ち上げた。それだけです。

今、アメリカでは、すでに成功例となったシェアサービス、UberやAirbnbの成長期が過ぎたと言われています。要点は手数料で「20%の手数料は高いんじゃないか?」という意識変化が起こっています。

個人的に、日本の様々なECサービスは、これから二極化が進むように思っています。

【個人ショップで手数料をおさえるケース】か、
【集客や運営で、生き残れた大手サービスへ集中するケース】の、
どちらかを選ぶか、はたまた、どちらも利用するか、という形におさまるかと考えています。

さらに(時期はわかりませんが)それを飲み込むシステムが出てくると考えています。これは、普及するかどうかは別として、大げさな第3の選択肢として、2つ下の項目にメモしておきます( 詳しく書くと長くなるので、別記事でまとめます )。

クリエイターは結局どこを使えばいいのか?

「背景なんぞどうでもええ!クリエイター目線でどうしたらええねん!」というお声も聞こえそうなので…先に…

私見が入った自分なりの考えですが、ボケ防止にまとめておきたいと思います。

クリエイターにとっては、結局、どのようなサービスが出てこようと、消えてしまおうと、自分の作品がなくなるわけではありません。

物販で、食品・電化製品などを扱う場合は、「旬な期限」があるために在庫をかかえてしまう危険がありますが…コンテンツには消費期限がありません。

なので、コストがかからないサービスなら「すべて利用すればいい」と考えています。

どこで売ろうか迷うくらいなら、全部のサービスに陳列しておいた方が、ネット上で面積も多くなりますし、目につきやすい分、買ってもらえる機会も多くなります

あまりにマージンが高いサービスもありますが、そういうところは次第に閑古鳥が鳴くでしょうし、マージンを多く取られてもマイナス収支になるわけではないので、気にすることもないと思っています。

無料で使えるサービスは、遠慮なく、どんどん使えばいいかと思います。

個人的には、クリエイターがこれから考えるべきなのは「コンテンツの売り方」ではなく、「コンテンツへの考え方」だと思っています。これには私見が多く含まれるので、別記事にまとめます。

私が勝手に見る、未来の3類型:【個人商店型・モール集約型】への二極化と、その先にあるもの

個人商店に向きそうなタイプ

ハンドメイドなど独自のブランド、老舗ショップのネット進出、ブランド力をもつオリジナル商品を扱うお店は、遅かれ早かれ、個人商店型に収まると見ています。モールで集客する必要のない商品の場合ですね。PPC広告によって差は出るでしょうが、Wordpressで独自に立ち上げたほうが、上位に表示されるというデータも出ています。過渡期においては、モールに出しておいて、個人商店も持つというケースが多くなると見てい間sう。

モールへの出品がよさそうなタイプ

もう1方は、同じ製品を価格競争するタイプ、いわゆる「卸売り」するタイプのショップは、大型モールへと集約すると見ています。先にも述べましたが、すでにアメリカではアマゾンに対抗する時代は過ぎ去っています。モールでも、DtoC型への移行が始まっているそうです(DtoC:企業から直接個人へ、卸売りを介さずに販売するビジネスモデル)。

その先にあるものは…

さて、過去の歴史を遡るまでもなく、1点に集約した中央集権システムは、長くは続きません。栄枯盛衰ですね。

いずれ、Amazonをはじめとする「モール型」も、資本力だけでは解決できない、何らかの壁に当たるでしょう。

たとえば、DtoCが加速すれば、マーケットプレイス出品者は、軒並み倒れてしまうかもしれません。卸売り業者を介するより、サポートの手厚いメーカー出品者から買ってしまうでしょう。すでにアメリカのamazonでは、Mac周辺機器で有名なOWCが、自社サイトと同じ価格でamazonに出品しています(DtoCモデル)。個人的には、もしマーケットプレイスのシステムが崩れたとき、amazonはどのような戦略を取るのか、注目したいところです。

さて、その先のEC業界はどうなるのか。

私は、第三の選択肢として、仮想通貨テクノロジー(ブロックチェーン)が波紋を巻き起こすのではないか…と見ています。

「仮想通貨」…というと、日本では事件があったために印象がよくないかもしれませんが…仮想通貨そのものではなく、基幹にある「ブロックチェーン」という技術が、行き詰った資本主義社会を打ち破る可能性を秘めているかもしれない…と感じています。

具体的には、ブロックチェーンが普及すると「仲介業者」が必要なくなる可能性があります。個人間で全てを行えてしまう・・・という時代が来るかもしれません。【これに関して、9/18追記 やや下に】

(長くなりましたことと、専門的すぎて需要があまりないと思うのでw、別記事でまとめたいと思います。ここでは触りだけで終わります)

大げさに言えば、資本主義経済は今すでに行き詰っています(一応、社会学専攻だったので…堅苦しくてスミマセン)。リアル通貨が、仮想通貨に置きかわるか?はテーマではありません。利益のみを追求し、格差問題を解決できずに行き詰った「資本主義」という概念に、ブロックチェーンのような技術が何らかの影響を及ぼす可能性を持っているという意味です。

これが普及するかは、これも大げさに言えば、ネット上で、人間の「善意」が勝るか、「悪意」が勝るか・・・にあると見ています。

9/18 追記

参考までに、すでに【仲介手数料無料】のプラットフォームが出てきています(イーサリアムと独自の仮想通貨トークンを使った、マーケットプレイス、Origin。まだβ段階ですが、試みとして非常に共感できるものがあります)。

仮想通貨はレートの変動率が激しいので、出品者か購入者のどちらかが損してしまう危険もありますが、世界通貨と同じくらいに安定すれば、Origin、いいのではないでしょうか。

まとめ

今、EC業界は混迷期にあると思います。

色々なサービスが、色々な手数料で展開されています。
サービスは非常に手軽に利用でき、高機能。素晴らしい時代です。

・・・が、もし個人でも、カート機能だけ導入し、決済会社と契約できたら、
本当は、3.6%だけで済むかもしれない・・・
アフィリエイト記事が多いため、その真実は意外と知ることができない・・・

…なので記事に残しておこうかな…という内容でした。

また、サービス手数料の一つの比較材料として、

20%前後なら、世界的な標準マージン(しかし、それでは高いという声も出てきた)、
10%前後なら、フレンドリーに頑張っているサービス

…が、ひとつの目安になれば幸いです。

クリエイター目線としては…

使えるサービスはどんどん使えば、それだけ露出が増えるので、自分のショップもネットサービスも、

無料でできるものなら、どこでも利用していいと思います。その分売れる可能性が広がるだけです。

WordPressだけでもショップはできます。WooCommerceなどもあまり難しくありません。

ただ、別記事 に書いたように「権利関係を一部でも明け渡す」サービスの利用は、色々と考えてからのほうがいいと思います。

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